胃袋はブラックホール猫

凡人風大学生の寝てから言う寝言

幼くしてベンジョンソンだった僕

運動会のたびに思い出す淡い思い出

運動会の花形”リレーの選手”、バトンを受け取り走るその姿に憧れた人は多いはずだ

”リレーの選手になったらDSのソフト買ってあげるよ”
その言葉が全ての始まりだった。


大して足が速いわけではなかったが、リレーの選手になるために小5の僕はある賭けに出た。



僕の小学校はリレーの選手を選ぶ際に体力測定を一通り行い、五十メートル走のタイムの結果を踏まえてリレーの選手を選んでいた。


一人一人に台紙を配られ、五十メートル走、シャトルラン(ド、レ、ミ、ファ、ソのやつだ)持久走と各項目ごとに記録を先生たちが記録していく。

僕の五十メートル走の結果は7秒8とリレー基準の7秒5に僅かに届かなかった、



だが案ずることなかれ
僕のポケットには鉛筆と消しゴムを忍ばせてある。


走る時にポケットから落ちてこないか不安でポケットを掴む奇妙なポーズで走ったため緊張した。

先生から記録用紙を受け取ると即座に、腹痛のふりをしてトイレの個室へと向かう。そして
7秒8の8の部分をゴシゴシと消していく。
そして書き換えた。
うっすらと残った消した後を誤魔化すために指で黒鉛を広げ、紙全体をきたなくするなど小細工も施した。

全てはDSのソフトのためである

しかしこの時何をトチ狂ったのか、馬鹿な小学生の僕は7秒0と書き換えてしまったのだ、、

0、1秒足が速くなるために何年も努力をしてしのぎを削る陸上の世界
0、8秒早くなるためには何十年の修行が必要なのだろうか、、、

明らかに早くなりすぎである。当然周りからは疑われた。

しかし当時リレーの選手に小柄な生徒が多く選ばれていることが多かったので、チビ=足が速いという謎理論が展開されていた。

助け舟かの様なその謎理論を振りかざし僕は疑いの目を払いのけた。


かくして、ベンジョンソン越えの大不正と謎理論を駆使した結果めでたくリレーの選手に選ばれることとなった。
クラスでも意外と足早かったんだと、株が上がったりもした





こうしてリレーの選手になりDSのソフトをまんまとゲットした僕だが、この後悲劇が起きる


当時、足の速いリレーの選手の中でも7秒5くらいが一番遅いグループで、一番速い子で6秒9とかであった。

僕の自称記録は7秒0
かなり速い部類である。

じゃあ、OO君はこのグループね、
そう言われて向かった先には各クラスでも噂の俊足の強者揃いであった。

ヤベェええええ!死んだ!ビリ決定じゃん!

僕の不正タイムが早すぎたため、走る順番が上位の俊足陣に組み込まれてしまったのだ!

そこから僕は必死だった。
足が速くなるようにランニングをしたり、脚力を鍛えようと階段を何段か飛ばしてジャンプしたり(意味あるのかは不明)と、とにかく少しでも速くなろうと必死だった。
しかし残酷かな一切足が速くなった気がしない。

一番きつかったのが運動会までの体育の時間にもリレーの練習があったことだ。走るの遅くね?7秒0じゃなくね?と言われるたびに、
本番までに他のクラスに実力は隠しておきたいんだ、とか適当なことを言ったり、頭が痛いと仮病を使い保健室に逃げたり必死に言い訳をしていた。

今更、不正しましたなどと口が裂けても言えないので、
もはや足が速くなることよりもどうやって誤魔化すかの方に僕の思考はシフトしていった。

この頃になると、なんで不正しちゃったんだろううう!
と毎日思い悩むほど病んでいた



そして運動会当日

他学年のダンスや組体操を見ながら感嘆の声を同級生があげる中、僕の心臓は破裂するほどの緊張とある秘策の準備をしていた。

"それは骨折だ!"

昼休みに友人を数人数人を誘い、上から下まで階段を何段飛ばしてジャンプできるかゲームを開催した。

そこで足の骨を折る予定だった。


しかし予想外のことが発生




同級生が先に怪我をしたのだ!


階段の一番上から下まで一気に飛び着地した刹那、よろけながら足を抑えていた
捻挫だった

周りの同級生も僕もその子に駆けつけて保健室まで連れていかなければならなかったし、先生たちに怒られたために僕の骨折チャレンジはここで頓挫した



ピンポンパンポーン!次はリレーの選手による競争です!!

運命のカウントダウンが始まった



クソ!どうすりゃいいんだ!!走りたくない走りたくない!クソクソクソ!!!
そんなことを考えてもリレーの順番は刻一刻と迫る

何か足が遅くても仕方ない方法はないか?

結果
僕が出した答えは腹痛と鼻血を出すことだった、

腹痛は一般的な仮病、鼻血は白組だったので血の赤が映えて怪我感が増すと考えたためだ

リレーの待機列に並んでいる間から腹痛いわ〜、腹痛い、何か変なもの食ったかな〜いたたたと
呟きしきりに同級生にアピールしていた

それと並行して鼻かゆいわ〜と言いながら鼻をガンガン小パンチしていた。
(後に、瞬時に鼻血を出せるという特技となる)


そして僕がリレーを受け取る番、鼻血を垂らすことに成功、まんまと怪我をしたけど頑張ってる感を出せた。

リレーの結果は僕で二人に抜かされ、2位から5位のビリへ落とす結果となった


周りの目は冷たかったが

鼻血でてなきゃな〜鼻血がね〜、うーん鼻血、いや〜頑張ったわ〜、鼻血出した割に頑張ったわ〜、あと腹痛かったわ〜と地獄のミサワばりにうざい弁明で大いに煙に巻いた。
血まで流したんだ、許してくれよ笑



二度と分部相応なことは考えてはならないと知った小5の秋なのであった。




皆さん!不正は良くないです!良くないです!
フェアプレー最高!